海辺のリア

桑畑兆吉は、舞台、映画にと、役者として半世紀以上のキャリアを積み、さらに俳優養成所を主宰する、芝居を愛し続けた大スターだったが、今や認知症の疑いがあり、長女・由紀子とその夫であり、兆吉の弟子だった行男。そして、由紀子と愛人関係にある謎の運転手に裏切られ、遺書を書かされた挙句に高級老人ホームへと送り込まれる。しかし、ある日、兆吉はその施設を脱走し、なにかに導かれるように、あてもなく海辺を歩き続ける。シルクのパジャマ姿にコートを羽織り、スーツケースをひきずり、彷徨い歩くなかで、兆吉は妻とは別の女に産ませた娘・伸子と突然の再会を果たす。私生児を産んだ伸子を許せず、家から追い出した過去があった兆吉は、伸子に「リア王」の最愛の娘・コーディーリアの幻影を見る。そして、兆吉の身にも「リア王」の狂気が乗り移る。かつての記憶が溢れ出したとき、兆吉の心に人生最後の輝きが宿る…。

『影武者』『乱』など黒澤明監督作品の常連だった仲代達矢が、『春との旅』『日本の悲劇』に続き小林政広監督とタッグ組んだ人間ドラマ。『リップヴァンウィンクルの花嫁』の黒木華、『蜩ノ記』の原田美枝子、『映画「深夜食堂」』の小林薫、『海よりもまだ深く』の阿部寛ら実力派俳優陣が脇を固める。