猫は抱くもの

思った通りの自分になれなくて、いつしか投げやりな生き方に慣れてしまった沙織(沢尻エリカ)。元アイドルのアラサーで、今はスーパーで働く彼女が心を開くのは、こっそり飼っているロシアンブルーの猫・良男(吉沢亮)だけ。今日一日の出来事を、妄想を交えつつ良男に話して聞かせる沙織。そんな沙織の心に寄り添ううち、良男は自分が沙織の人間の恋人で、彼女を守れるのは自分だけだと思い込んでしまう。ある日、沙織の前に“ゴッホ”と呼ばれる売れない画家・後藤保(峯田和伸)が現れ、良男は沙織の変化を目の当たりにする。ある晩、良男は月に誘われるように外の世界に飛び出し、迷子になってしまう。ゴッホや、ゴッホを慕う猫・キイロ(コムアイ)、個性豊かな猫たちとの出逢いを通じて、1人と1匹は、自分らしく生きるすべを見つけていく…。

うまくいかないことの輝き。置いてけぼりをくらっている時間の豊かさ。灰色の日常がカラフルに輝きはじめる、心温まる物語。“アイドルの夢を諦めた、妄想好きのアラサ―女性”沙織を演じるのは、『ヘルタースケルター』『不能犯』の沢尻エリカ。“自分を沙織の恋人だと思い込んでいる猫”良男の擬人化した姿を『リバーズ・エッジ』『ママレード・ボーイ』の吉沢亮が演じる。また、良男の相棒となる猫・キイロを映画初出演となる「水曜日のカンパネラ」のコムアイ、猫のキイロをこよなく愛し、沙織の気になる存在となる画家のゴッホこと後藤保を「銀杏BOYZ」の峯田和伸が演じる。監督は、繊細な恋愛ドラマから歴史大作まで幅広いジャンルで演出の冴えを見せてきた犬童一心。