ヴァンサンへの手紙

友人のヴァンサンが突然に命を絶った。彼の不在を埋めるかのように、レティシア・カートン監督はろうコミュニティでカメラを回しはじめる。美しく豊かな手話と、優しく力強いろう文化。それは彼が教えてくれた、もう一つの世界。共に手話を生き、喜びや痛みをわかちあう中で、レティシア監督はろう者たちの内面に、ヴァンサンが抱えていたのと同じ、複雑な感情が閉じ込められているのを見出す…。

「ろう者の存在を知らせたい」というヴァンサンの遺志を継いだレティシア監督がろう者の心の声に目を澄まし、10年間の想いを綴ったビデオレター。社会から抑圧され続けてきた怒り、ろう教育のあり方、手話との出会い、家族への愛と葛藤。現代に生きるろう者の立場に徹底して寄り添いながら、時に優しく、時に鋭く、静かに、鮮やかに、この世界のありようを映し出す。